2024年度の介護報酬改定に伴い導入された「オンラインモニタリング」。
不足するケアマネジャーの人材確保において、ICTの活用等を通じた業務効率化の取り組みを含め、働く環境の改善が求められます。
ケアマネさんの中には、このオンラインモニタリングについて、「要件厳しくない?」「ほとんど活用されないのでは?」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。これにより、ケアマネジャーの業務負担軽減につながる日がくるのでしょうか。それは数年後?もっとかかる…?
今回はそのオンラインモニタリングについて詳しく解説していきたいと思います。
オンラインモニタリングのポイント解説
ケアマネジャーによるモニタリングは訪問により実施することが原則です!
実施にあたっては、以下の点に留意する必要があります。
・オンラインを利用したモニタリングが実施可能な利用者であること
・利用者の同意を得ること
・サービス担当者会議等において、主治医、担当者その他の関係者の合意をえること
・サービス事業者の担当者と連携して情報収集を行うこと
・少なくとも2か月に1回(予防支援の場合は6月に1回)利用者の居宅へ訪問すること
オンラインを利用したモニタリングが実施可能な利用者であること
対象者の選定の基準は?
・利用者の状態像が安定していること。具体的には直近の更新認定で要介護度が変化していない、提供しているサービスの変更がない場合等があげられます。
・視力面・聴力面において、オンラインのコミュニケーションに問題がない
・利用者または家族がICT機器を利用することができる
また、認知機能が低下しているなど同意を得ることが困難と考えられる利用者は、オンラインモニタリングの対象者として想定されません。
以上の条件から、直近の認定調査票やアセスメント表との整合性についても留意する必要がありますね。
利用者本人から文書で同意を得ていること
オンラインモニタリングを実施するにあたり、利用者本人の文書による同意が必要ですが、同意書以外の方法としては、具体的には重要事項説明書に項目を設け、そこにチェックしてもらうといった方法で問題ありません。
文書による利用者やその家族から同意を得る場合、オンラインモニタリングに関するメリット・デメリットを含め、具体的な実施方法(居宅への訪問は2か月に1回であること等)を十分に説明する必要があります。
メリット
・自宅に人を入れるのに抵抗がある利用者や家族にとっては都合がいい
・居宅介護支援事業所から遠いところに住んでいる利用者や、雪等による交通障害の影響を受ける時期においては、ケアマネジャーの業務効率化につながる
デメリット
・ICT機器の操作に慣れている高齢者は少なく、サポートが必要
→家族や訪問介護で訪問中の介護士にサポートしてもらう(サービスに影響のない範囲で)等の工夫が必要
・通信ツールの安全面に関する懸念等から、オンラインモニタリングの有用性にについて理解を得ることが難しいケースがある
また、利用者や家族と、ケアマネジャーとの関係性が良好であり、信頼関係が十分に構築できていることも重要なポイントといえるでしょう。
サービス担当者会議等において、主治医、担当者その他の関係者の合意をえること
オンラインモニタリングを実施するにあたっては、関係者全体でオンラインモニタリングでも情報収集が可能であるかを検討し、主治医やサービス事業所等と合意を得たことについて、支援経過記録やサービス担当者会議の要点等に記載する必要があります。
サービス事業者の担当者と連携して情報収集を行うこと
オンラインモニタリングについてサービス事業所の合意・協力を得たうえで、事前にサービス事業所との情報交換を行う等、必要に応じてサービス事業所とコミュニケーションをとることを心がけ、連携することが必須です。
厚生労働省が示す「情報連携シート」などを活用し、オンラインモニタリングでは十分に収集できない情報を、サービス事業所との連携によって補完しましょう。
なお情報連携シートの記入においては、すべて記入する必要はなく、ケアマネジャーから情報収集を依頼する項目だけで構いません。
少なくとも2か月に1回(予防支援の場合は6月に1回)利用者の居宅へ訪問すること
ケアマネジャーによるモニタリングは、訪問により実施することが原則です。
オンラインモニタリングは、遠方に住む利用者や豪雪の地域に住む利用者・ケアマネジャーにとってメリットは大きいですが、現地訪問でないと十分な情報収集ができない点も多く、留意点をふまえて慎重に行わなければなりません。
自宅環境(利用者の居室・トイレ・風呂など生活範囲のすべて)の整頓状況や、物品の位置の変化などの把握、におい、温度、身体状況(むくみの状況、傷の治り具合、動作)の確認などは、実際に訪問して五感で感じなければ変化に気づけないことも多いでしょう。
まとめ
オンラインを活用したモニタリングは、現時点において、ハードルが高いと感じるケアマネジャーもいるでしょう。
しかし、裏を返せば、利用者本人や関係者全体の理解と協力を得てオンラインモニタリングを導入し、適切なモニタリングを行うことができれば、私たちの業務負担は軽減し、より質の高いケアマネジメントを実施できるということに繋がるのかもしれませんね。
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