2024年度の介護保険制度改正から約一年、「結局何が変わったんだっけ?今さらほかの人に聞けないよー」という方へ向けて、ケアマネ業務の何が変わったのか、シンプルにポイントだけまとめてみました。
オンラインモニタリング
- ケアマンジャーが行うモニタリングをテレビ電話等によって行うことが可能に
- 2か月に1回(予防支援の場合は6か月に1回)は訪問による実施が可能
- オンラインで収集できない情報は、情報連携シートを用いるなどサービス提供事業者との連携によって補う
詳しく解説!オンラインモニタリングのこと、もっと知りたい、という方はこちらのページをご覧ください。教えて!ケアマネのオンラインモニタリングについて
取扱件数の緩和
- 逓減性にかかるケアマネジャー一人当たりの取り扱い件数が緩和
- 居宅介護支援費(Ⅰ)の場合は40件未満→45件未満に。一定の条件を満たした場合(Ⅱ)は45件未満→50件未満に。※(Ⅰ)はICT活用または事務職員の配置を行っていない場合、(Ⅱ)はICT等を活用している場合に算定可
- (Ⅱ)の条件が「ケアプランデータ連携システムの活用および事務職員の配置」となり、適用ハードルが上昇
ケアプランデータ連携システムとは、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所間で毎月やりとりされるケアプランの一部情報(予定・実績)をオンラインで完結できる仕組みです。
厚生労働省からの依頼により、国民健康保険中央会において構築され、令和5年4月より運用が開始されています。
サービス提供票や居宅サービス計画書など、手書き・印刷し、ファックスや郵送等でやりとりしていた書類を、データで送受信できるようになるため、業務負担やコスト削減が期待できます。
特定事業所加算
- 単位数の引き上げ
- 算定要件に「他法制度にかかる支援の事例検討や研修への参加」が追加
- 具体的には、ヤングケアラー、ビジネスケアラー、障害者、生活困窮者、難病患者などに対する支援の研修会等
改正前の要件では、参加すべき事例検討会等は「地域包括支援センター等が主催するもの」とされていましたが、今回の改正で削除されました。開催の主体をより広げていくという意図がうかがえます。
算定にあたっては、「他法他制度に関する支援」を実際に行ったかどうかの支援実績は問われません。ケアマネジャーが支援機関・専門職を必要とする人をしかるべき支援につなぐための知識の習得を促すものです。
医療連携
- 入院時情報連携加算の情報提供のタイミングが早められた
- ターミナルケアマネジメント加算の対象が末期がん患者以外にも拡大
- 特定事業所医療介護連携加算で、ターミナルケアマネジメント加算の算定要件のハードルが上がった
入院時情報連携加算
・2021年度改正
(Ⅰ)200単位/月
入院後3日以内に医療機関に情報提供を行う。提供方法は問わない
(Ⅱ)100単位/月
入院後7日以内に医療機関に情報提供を行う。提供方法は問わない
・2024年度改正
(Ⅰ)250単位/月
入院した日(※)のうちに、医療機関に必要な情報提供を行う。
※入院日以前の情報提供を含む。営業時間終了後または営業日以外の日に入院した場合は、入院日の翌日を含む
(Ⅱ)200単位/月
入院した日の翌日または翌々日(※)に、医療機関に必要な情報提供を行う。
※営業時間終了後に入院した場合であって、入院日から起算して3日目が営業日でない場合は、その翌日を含む
ターミナルケアマネジメント加算の対象者とは?
ターミナルケアマネジメント加算の対象となる疾患が「末期の悪性腫瘍に限定しない」こととなり、「医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断された者」が対象となりました。
特定事業所医療介護連携加算におけるターミナルケアマネジメント加算の算定要件とは?
・2021年度改正
前々年度の3月から前年度の2月までの間において、ターミナルケアマネジメント加算を5回以上算定していること
・2024年度改正
前々年度の3月から前年度の2月までの間において、ターミナルケアマネジメント加算を15回以上算定していること
運営基準
- サービス利用割合についての利用者説明が「義務」から「努力義務」に
- 事業所と同一・隣接敷地内の建物に居住している利用者などについて、減算が定められた
サービスの利用割合についての利用者説明ってなんだっけ?
2021年度の報酬改定で、過去半年に作ったケアプランの訪問介護、通所介護、福祉用具の割合を利用者へ説明することが居宅介護支援事業所に義務付けられています。内容は以下のとおりです。
指定居宅介護支援の提供に際し、あらかじめ利用者に対して、
・利用者は居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス事業者等の選定理由の説明を求めることができること
・前6月間に当該指定居宅介護支援事業所において作成された居宅サービス計画の総数のうちに訪問介護、通所介護、福祉用具貸与及び地域密着型通所介護(以下「訪問介護等」という。)がそれぞれ位置付けられた居宅サービス計画の数が占める割合及び前6月間に当該指定居宅介護支援事業所において作成された居宅サービス計画に位置付けられた訪問介護等ごとの回数のうちに同一の指定居宅サービス事業者または指定地域密着型サービス事業者によって提供されたものが占める割合(上位3位まで)について、文書を交付して説明を行っていない場合には、契約月から当該状態が解消されるに至った月の前月まで減算とする。
介護予防支援
- 居宅介護支援事業所が、介護予防支援の指定を受けることが可能に
- 居宅介護支援事業所が指定をうけた場合の報酬単価が引き上げられ、新たに算定できる加算も広がった
福祉用具貸与・販売
- 福祉用具の一部品目を対象に、「販売・貸与の選択制」が導入
- 対象となるのは固定用スロープ、歩行器(キャスター等がついた歩行者は除く)、単点杖(松葉杖は除く)及び多点杖
全サービス共通事項
- BCP(業務継続計画)の策定や高齢者虐待防止措置の経過措置が終了
- それぞれ取り組み未実施の場合には1%の減算。居宅介護支援事業所のBCP未策定減算は2025年度から
- 身体拘束等の原則禁止に関する規定が新設。緊急やむを得ない場合の実施については、その状況等の記録も義務付け
- 管理者以外も職員のテレワークに関する扱いが明確化
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