ーーー認知症やフレイルの初期サインも見逃さない!ーーー
最近、電話越しの母の声が少し弱々しく感じる。
「寒いから、外にあんまり出てないのよ」
離れて暮らす母の発言に、胸がざわついたーー

(母はもともと外出が好きで、家で過ごすことなんてほとんどなかったのに…)
これは、実際に私がケアマネとしてよく受ける“相談のはじまり方”です。
離れて暮らしていると、親の変化は
✅ 声
✅ 口数
✅ 生活の話の内容
といった、ほんの小さな違和感としてしか現れません。
そして多くの方が、こう言います。
「もう年ですから、こんなものですよね?」
「まだ様子見でいいですよね?」
この記事では、これまで何百件と介護の相談を受けてきた立場から、
この違和感を感じた”その時点で”、
何をすればいいのか、何を急がなくてもいいのかを、
今日からできる“親の変化に気づいたときの5つの行動”
として、わかりやすくまとめました。
この記事を読み終えるころには、
あなたが
「今のうちから、少しずつ親のこれからを一緒に考えてみよう」
そんな前向きで、少し安心した気持ちになってくれていると嬉しいです。
※この記事では、離れて暮らす親のことで悩む「40代の娘さん」を、
読者モデルとして「まゆさん」と呼んでいます。
あなた自身に置き換えて読んでみてくださいね。
🔷 本当に「まだ大丈夫」?

「母ももう年ですから、こんなものですよね?」
「まだ様子見でいいですよね?」
そう聞かれるたびに、正直に言うと、
私の答えはいつも「分からない」です。
ケアマネだから、はっきりした正解を出せると思われがちですが、
人の体調も、生活の変化も、これからどう進むのかは誰にも分かりません。
私自身も毎回、
「このままでいいのか」
「今、何かしておくべきことはないのか」
と、迷いながら一緒に考えています。
そして後から振り返って、
「やっぱり、あのタイミングで少し動いておけばよかったな」
そう感じる場面が、正直、少なくありません。
だからこそ私は、
“まだ大丈夫かどうか”を白黒つけるよりも、
「もしもの時に慌てないための、小さな準備」をおすすめしたいと思っています。
介護は、誰か特別な人にだけ突然起こるものではありません。
年を重ねれば、誰にでも、いつかは少しずつ始まっていくものだと私は思っています。
だから私は、
「介護=怖いもの」「できれば考えたくないもの」
として遠ざけるのではなく、
“少し早めに知って、少し早めに動いておくことで、
これから続くかもしれない毎日を、できるだけ穏やかに過ごしてほしい”
そう願いながら、日々ご家族の相談を受けています。
実際に、
・早めに情報を集めて
・無理のない範囲で周囲に頼りながら
・「まだ大丈夫なうち」から関わり始めたご家族は、
焦らず、抱え込みすぎず、親御さんとも穏やかな関係のまま介護と向き合えていることが多いです。

「今すぐ何かを決断しなければならない」という話ではなく、
“気づいた今が、静かに準備を始めるタイミング”というメッセージをお伝えします。
🔷 まずはチェックしよう!簡単にできる”5つの変化チェック”
ここからは、
離れて暮らしていても電話や帰省のタイミングで気づきやすい
フレイル(心身の衰え)の初期サインを、5つ紹介します。
すべて医療行為ではなく、
ご家族の目線で“気づける変化”だけを集めています。
✔︎ 今すぐできる「5つの変化チェック」
※参考:日本版CHS基準(J-CHS基準)
✔︎ 判定の目安
- 1~2つ当てはまる→「フレイル予備軍」の可能性
- 3つ以上に当てはまる→「フレイル」の可能性があると言われています
※参考:日本老年医学会「フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント」
🌱 やさしく知っておきたい「フレイル」とは?|要介護の手前の状態
フレイルとは、
「健康」と「要介護」のあいだにある
“ちょっと弱ってきた状態”のことを指します。
病気ではないけれど、
このまま何もしないでいると、
転倒や入院、要介護につながりやすくなる――
そんな“小さな分かれ道”のような時期です。
ただ、ここで安心してほしいのは、
フレイルは、早めに気づけば十分に戻せる状態でもあるということ。
だからこそ、今回の「5つの変化チェック」は、
とても意味のある確認なんです。
✔︎ チェック結果の受け止め方
項目に当てはまったとしても、
「気づけた」時点で、それはもう大きな一歩です。
いきなり何かをしなくて大丈夫。
ここからは、
- 食事
- 運動
- 受診のタイミング
など、今日からできる”小さな行動”につなげていけば十分です。
むしろ今この段階で気づけたからこそ、
- 無理のない食事の工夫
- できる範囲での体の動かし方
- 「念のため」の受診
など、選べる対策がたくさん残っている状態とも言えます。
そして次のパートでは、
このチェックで気づいた小さな変化を、そのままにしないための
「今日からできる5つの行動」を、具体的にお伝えしていきます。
🔷 小さな変化を見つけたら|最初に行うべき5つのステップ
① 歩行・食事・薬…「気になること」をメモする
親の小さな変化は、あとから思い出そうとしても忘れてしまいがち。
まずは気づいたことを短く、事実だけメモしておきましょう。
✏️ メモの例
- 「1日3食 → 2食に減った」
- 「ご飯を半分残すようになった」
- 「薬を1週間で2回飲み忘れていた」
- 「歩くスピードがゆっくりになった」
この“事実メモ”は、後の受診や家族内の共有にとても役立ちます。
② バイタル(血圧・体重)を“1週間だけ”記録する
毎日測るのは本人にも負担。
まずは1週間限定でOKです。
この1週間のデータだけで、体調の傾向が十分に読み取れます。
🔹 離れて暮らす場合の “ラクな共有方法”
- スマート体重計(自動で家族に共有される)
- アプリ連動の血圧計(グラフ化され、医師にも説明しやすい)
- 測った画面をLINEで送ってもらうだけの簡易方式
負担にならず続けやすい方法を選びましょう。
③毎日の“食べた量”を軽くチェックする
食事チェックは、細かく把握する必要はありません。
見るポイントは次の3つだけ。
- 主食(ごはん・パン)をどれくらい食べているか
- 主菜(肉・魚)が残っていないか
- 野菜が極端に少なくなっていないか
遠距離の場合は、
写真をLINEで送ってもらうだけでも、低栄養のサインが十分に分かります。
🔸 低栄養のサイン例
- おかずを残すことが増えた
- ゼリーや菓子パンだけで済ませる
- 昼食を抜いている日がある
- 体重がゆっくり減り始めている
📒テンプレートはこちらからダウンロードhttps://docs.google.com/document/d/1w0kHof0jqX_BiVULhAufsIbmVe7eHxuOENgHYQWdeO8/edit?usp=sharing
気づいたら、後述の「受診メモ」に反映させましょう。
④次の受診で医師に伝える“受診メモ”を作る
「離れているから受診に付き添えない…」
という人でも大丈夫。
医師に渡す“簡易メモ”をつくるだけで、診察内容が大きく変わります。
書く内容はたった3つだけです。
✏️ 受診メモに書くこと(これだけでOK)
- 前と比べて変わったこと
(例:歩く速度、食べる量、薬の飲み忘れ) - 1週間のバイタル・食事の様子
(写真があれば添付も可) - いま心配していること
(歩行・栄養・家事が負担など)
📒テンプレはこちらからダウンロードhttps://docs.google.com/document/d/12COUg0VrTe9FQ_hOb7o3lwmwno0oK4PQFYc_D7Laazg/edit?usp=sharing
💡 メモがあると、医師から次のような提案が出やすくなります
- 栄養強化(宅配食・補助食品)
- 低栄養対策
- 自宅でもできる運動提案
- 生活リズムの整え方
- 栄養士・歯科・リハビリ専門職への紹介
あなたが同席できなくても、
“情報の質”がそろえば医師は正確な判断がしやすくなります。
⑤ 歩く量が減っているなら“生活リハビリ”を追加する
リハビリと聞くと大変そうに感じますが、
毎日の生活の中で「少しだけ身体を使う時間」を作るだけで十分です。
親本人が無理なく続けられる内容なので、遠方で暮らす子育て世代のあなたも、記録やサポートとして気軽に関わることができます。
🏠 家の中でできるカンタン生活リハビリ
- 郵便物チェックを本人の役割にする
- 朝だけ家の周りを1周する
- 台所で立ち座りを1回だけでも必ず行う
- ひと駅分だけ歩く、を週に1回から始める
続けられる小さな習慣が、フレイル予防に直結します。
🔷 使える!実際の親子の会話例
5つのステップを実践しようとしても、
「親にどう切り出せばいいの?」
と悩む人はとても多いです。
ここでは、よくある“言いづらい場面”で使える会話例を紹介します。
❌ NG例
相手を「弱い存在」として扱う言い方は、反発を生みがちです。
- 「もう年なんだから…」
- 「ちゃんとできてるか心配だから見ておきたいんだよ」
※否定・心配ベースの言い方は、「自分でできる」という気持ちを傷つけやすい。
⭕ OK例
親の 尊厳を保ちながら、“一緒にやる”スタンス を伝えるのがポイント。
- 「今のうちにできることがあるか、先生に少し相談してみよっか?」
→ “心配”ではなく、“予防”を理由にすることで前向きになりやすい。 - 「ずっとじゃなくて、1週間だけ“検査”みたいに記録してみない?」
→ “期間を区切る”ことで、ハードルを下げられる。 - 「お母さんのペースでいいから、一緒にやってみよう」
→ 親の自立を尊重する姿勢が伝わる。 - 「私も知っておきたいから、少しだけ教えて」
→ “お願いベース”は受け入れられやすい。
必要なのは、「できていない部分」を指摘することではなく、
“一緒に考えたい”“あなたの力になりたい” という姿勢です。
このスタンスがあるだけで、親は安心して話してくれやすくなります。
💬私が実際に親に提案したリアルなセリフ
「もし体調や生活で困ったことがあったときに備えて、今の状況を少し教えてもらえると助かるな」
🔷 1週間後にどう判断すればいい?
1週間、食事の記録やバイタル、気になった様子をメモできたら、
次は 「どの変化がどの行動につながるか」 を判断します。
✔️ 特に大きな変化なし
→ 今の生活でOK。引き続き“月1回”ほど見守りチェックを。
(※「何もなくてよかった」と自分も親も安心できる時間に。)
✔️ 小さな変化がある
体重減少・疲れやすさ・ふらつきなど、軽度でも何か気になることがあれば
→ かかりつけ医に相談。
事前に 1週間のメモ を見せると、医師は判断しやすくなります。
✔️ 栄養不足・歩行力の低下が疑われる
→ 宅配食の活用/栄養補助食品(高カロリーゼリー等)の追加 を検討。
食べられる量が少なくても、少しの工夫で体力は戻りやすくなります。
✔️ 日中の活動が減っている
外出が減った、横になっている時間が増えた、という場合は
→ 生活リハビリや短時間デイサービス・運動機会の確保 を検討。
(※要介護認定が必要になる場合は、地域包括支援センターやケアマネに相談。)
小さな変化ほど、早く動けると改善しやすいもの。
「1週間チェック」は、次の行動を決める大きな手がかりになります。
🔷 まとめ
親の変化に気づくと、不安が押し寄せます。
しかし、“気づけた今”こそが、一番のチャンス でもあります。
💡 ポイント
- 5つのステップは一度に全部やる必要はありません。まず1つだけ。
- 親に寄り添う気持ちが伝われば、それだけで安心につながります。
私自身も、電話や帰省時の会話の中で少しずつ様子を聞き出しています。
一気に質問する必要はなく、「あなたを気にかけている」という気持ちが伝われば十分」です。
この記事によって、
「今の状態を把握し、次にやることが明確になる」
そんなきっかけになれば嬉しいです。
あなたとご家族が、これからも安心して暮らせますように。


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