最近、親の様子にちょっとした変化を感じていませんか?
- 帰省したとき、足腰が前より弱っていると感じた
- 電話で「最近あまり外に出ていない」と言っていた
それでも、
「まだ介護するほどではないかな」
「私も仕事忙しくて、親の介護まで手が回らない」
あなたがそう思うのは自然なことです。
でも、このまま何もしないでいると、
ある日突然、「もっと早く知っておけばよかった」と焦る状況が訪れることがあります。

先日、母が玄関で転倒しました。
幸い大きなケガはありませんでしたが、
この出来事を機に、これまで見ないふりをしていた不安が、現実のものとして迫ってきました。
――だからこそ大切なのが、
「介護が必要になる前にできる、小さな一歩を知っておくこと」です。
私は2009年から介護の現場で働き、
介護福祉士・社会福祉士・ケアマネジャーの資格を取得しました。
現在も現役でケアマネジャーをしています。
仕事で多くの家族を見てきた一方で、私自身も2児の母です。
この記事では、そんな立場から、
忙しいあなたでも、今の生活を変えずにできる「5つの具体的な行動」 を紹介します。
全部やる必要はありません。
どれか一つ知っているだけでも、
「もしものとき、どう動けばいいか」が見えてきます。
今はまだ大丈夫。
でも、大丈夫な今だからこそできる準備があります。
今日この記事を読んだことが、
あなたと親のこれからを守る、最初の一歩になれば幸いです。
※さらに、遠距離介護で何から始めるか全体像を知りたい方は、
こちらの記事も参考にしてください。
離れて暮らす親の介護、何から始める?|現役ケアマネが5ステップで解説
小さな一歩①不安を一度、家族で出し合う
まずは、親の老後や介護について、あなたが感じている不安な気持ちを、あなた一人で抱え込まないでください。
今やってほしいのは、「正解を一人で探すこと」ではなく、
今の不安を一度、家族で言葉にしてみることです。
私がケアマネとして面談を行うときも、最初に行うのは本人や家族の意向の確認です。
- 誰が、何に対して不安を感じているのか
- 緊急性があると、本人(または家族)は感じているか
- 本人(または家族)は、これからどんな生活を送りたいのか
これらを明らかにすることで、今後の介護や支援の方向性が見えてきます。
もし本人と家族の意向が違う場合も、まずはそのまま受け止めることを意識します。
両者の違いを無理に合わせる必要はありません。
このケアマネ視点も、ぜひ参考にしてみてください。
親の気持ちを聞く
まずは、老後や今の生活について、親がどんなふうに考えているのかを聞いてみましょう。
- 最近体調の変化を感じていないか
- 不安に思っていることはないか
- 介護を受けることについて、どんなイメージをもっているのか
あなたが親の不安や希望を知ることで、
「お母さん、私に心配かけないようにと思って、我慢していたんだ」
「少し前から、1人で外に出かけることが不安だったんだ」
そんな気づきとともに、必要なサポートや対応が見えてきます。
具体例
- 転倒について、本人はどう思ったか
→「ちょっと不注意でこけただけ」「また、こけてしまうんじゃないか心配」 - 最近の生活で困っていることはないか
→「腰が痛くて、トイレやお風呂掃除が大変」「一人で電車やバスに乗るのが不安」
きょうだいの考えを共有する
きょうだいの考えも話し合い、家族で気持ちを整理しましょう。
「お姉ちゃんも、最近お母さんが外に出ることが減り、家のソファに座ってばかりいること、気にしてたんだ」
「でも、お姉ちゃんはまだ、お母さんの介護は必要ないと思っているみたい」
家族間で受け止め方が違っても焦る必要はなく、整理することで次の行動が考えやすくなります。
具体例
- 「お母さん、先週玄関でこけたらしいよ、お姉ちゃん知ってた?」
- 「最近お母さん、あまり一人で外出していないみたい。足腰弱っていかないか心配なんだけど、お姉ちゃんはどう思う?」
改まって話す必要はありません。
雑談の中で自然に聞いてみるぐらいがちょうどいいです。
電話やLINEを使う、テレビ番組や近所の人の話題に絡めて聞いてみるなど、
あなたに合ったやり方で聞いてみてください。

そして、次にやってほしいのは、
気になった事実や、親の小さな変化を、
あなたが忘れない形で残しておくことです。
小さな一歩②今の状況を、あなたが忘れない形で残す
気になったことや親の小さな変化を、あなたが忘れない形で記録しておきましょう。
「そんなメモ(記録)に意味あるの?」と思うかもしれません。
でもこの記録が、後にあなたが相談する先のケアマネや医師が、
『どう支援するか』を決める大きな材料になります。
何気ない日常の変化も、積み重ねれば、転倒予防や適切なサービス選定に直結するのです。
思い出せる範囲で、たった一言だけでも十分です。
具体例
- 転倒した日時と、そのときの状況
「(いつ)12月18日、(どこ)玄関で、(目的)買い物へ行こうと扉を開けようとして、
転倒した」
「すぐに一人で立ち、買い物に行った」or「一人で立ち上がれず、近所の人が起こしてくれた」
→安全対策の優先順位を判断できる - 外出頻度の変化を記録
「これまで、2日に1回はスーパーへ買い物へ行っていたのに、
転倒してからは、週に1回のペースになった」
→自立支援や見守りサービスの提案に役立つ - 食事や服薬の様子を簡単に残す
「薬が余っている、飲み忘れが目立つ」「1日3食だったのに、2食になっている」
→栄養や健康状態の変化に気づきやすくなる
その場で書けなくても、
あとからスマホのメモに一言残すだけで構いません。
余裕があれば、
そのときに感じた気持ちや、
家族それぞれの受け止め方も、
一言で構いませんので残しておくと役立ちます。
【携帯電話のメモ記録】

一言でもいいので記録することで、後の判断がぐっと正確になり、親・家族の安心につながります。

次の小さな一歩③では、
「どこに相談すればいいのか」を、
迷わず決めるための考え方をお伝えします。
小さな一歩③相談先を一つ決める
あなたが親の介護について、安心して話せる相談先を、一つ決めておくことが大切です。
介護の相談というと、
「どこに行けば正解なのか」を探してしまいがちです。
でも今、大切なのは
正しい場所を選ぶことよりも、
「あなたが安心して話せる場所」が一つあること。
誰かに相談できるだけで、親の介護への小さな一歩は踏み出せています。
相談先の具体例としては、
- 地域包括支援センター
- ケアマネジャー
- 病院の相談窓口や、かかりつけ医
など、一般的な相談先が挙げられます。
でも今の段階では、もっと気軽に相談できる友人や親戚でも大丈夫です。
正しい場所より、まず話せる場所を一つ持つことが重要です。

今の状況やあなたの不安をそのまま話せて、なおかつ、必要な情報や制度を
整理して伝えてくれる相談先をみつけましょう。
そしてたとえ、今の時点で相談先が見つかっていなくても、
今の親の困りごとや、あなたの不安な気持ちを、軽くしてくれるサービスがあります。
次の小さな一歩④では、
親もあなたも気軽に利用できる、介護サービスの情報をご紹介します。
小さな一歩④今からでも利用できるサービス情報を知る
介護保険外のサービスや便利な介護グッズを知る
親や自分の生活を少しラクにするサービスや、便利な介護グッズが、手軽に利用できることを知りましょう。
ちょっとした工夫で、日々の負担が軽くなり、
親とあなた自身の生活を長く守ることにつながります。

でも、自分で調べても情報が多すぎて、
何から手をつければいいか、わかりません…

人によって状況は違うので、必要なサポートも異なります。
でも今の時点では、正解を探す必要はありません。
まずは「あなたが一番気になること」から試してみてください。
具体例
- 食事の心配がある場合 → 宅配食サービス
- 買い物や外出が心配な場合 → 自費訪問介護サービス
- 転倒や急変が心配な場合 → 見守りサービスやセンサー・カメラ
自費の訪問介護サービスであれば、介護保険では対応できない外出先にも付き添うことができます。
たとえば、私が担当していた方(85歳女性)は、月2回書道教室に通うことが楽しみでした。
しかし、最近は足腰が弱ってきて、書道教室へ行く頻度が減っていました。
そこで、自費の訪問介護サービスで、月2回書道教室への付き添いを行ったところ、これまでの日課を無理なく継続できるようになりました。
このような小さな支援でも、日常の楽しみを守ることができるのです。
いきなり「全部をやらなければいけない」と考える必要はありません。
今は、こんなサポートや便利グッズがあるんだ、と知るだけでも十分な一歩です。
そして、まず一つ試すだけでも、日々の負担はぐっと軽くなります。
⭐自費の訪問介護サービスの活用方法について、具体的に知りたい方は、
こちらの記事を読んでみてください。
親の介護をしたくない、と思ってしまうあなたへ――何もしない罪悪感から解放される”第三の選択肢”
介護にかけられるお金の上限を考える
介護サービスを利用する前には、まず介護サービスやグッズにかけられる、最大予算を家族で話し合いましょう。
介護サービスは、本人の生活を守る“投資”です。
早めに積極的に使うほど、元気でいられる期間が長くなることもあります。
具体例
- リハビリや運動のサポートにかける上限を決める
→介護の重度化予防につながる - 家族の負担を減らすためのサービスも活用する
→長期的な介護も、自分の生活を守りながら無理なく継続できる
小さな一歩から始めることで、
あなたも親も安心して、今の日常を守ることができます。
小さな一歩⑤介護保険の仕組みをざっくり知る
介護保険サービスの概要を押さえておきましょう。
介護保険サービスの利用手続きや、要介護認定は少し複雑ですが、知っておくことで利用のタイミングや選択肢が分かりやすくなります。
押さえておくポイント
- 要介護認定が下りるまで、約1.5か月ほどかかる
→介護保険サービスを利用したくても、すぐに利用できないかもしれない - サービス利用前に、契約や会議などの手続きが必要
→家族が同席したり、手続きを代行する必要があり、家族の時間がとられる - 認定結果によっては、使える・使えないサービスがある
→介護認定が下りたのに、希望していた支援が受けられない
実際の介護保険サービス利用開始までの流れ(例)
- 12月1日 介護認定申請
- 12月23日 要介護認定のための認定調査(家族同席)
- 1月13日 結果通知(申請から認定まで44日かかった)
- 1月16日 契約・サービス担当者会議(家族同席)
- 1月18日 サービス利用開始
今の時点では、
「このぐらいの時間がかかるのか」
「保険サービスでは、できることとできないことがある」
という程度で理解できていたら大丈夫です。
あとは、ケアマネジャーが決まってから少しずつ説明を受け、理解していければOKです。
- 「契約とか会議とか、何だか仰々しくて怖いな」
- 「介護保険はハードルが高いのかな」
と不安に思う必要はありません。
まずは概要を押さえるだけでも十分です。
この記事を読んだこと自体が小さな一歩になります。
まとめ
「親の介護は、まだ先の話だと思いたい」
「できれば介護に時間をとられたくない」
そんな気持ちを否定する必要はありません。
ただ親の転倒や体調の変化をきっかけに、
「そろそろ介護が始まるかも」
「何から始めればいい?」
と不安になっている気持ちに、フタをしないでください。
親とあなた自身の生活を守るために、まずは小さな一歩から始めましょう。
- 家族で不安を出し合う
- 気になることをメモに残す
- 相談先を一つ決める
- 今すぐ使えるサービス情報を確認する
- 介護保険の仕組みをざっくり知る
どれか一つだけでも、実は大きな一歩です。
そして、この一歩は、単に介護の準備だけでなく 親と向き合う時間をつくります。
後悔しない、罪悪感もない、
あなたにピッタリの「介護の始め方・介護の形」を探していきましょう。
さらに、遠距離介護で何から始めるか全体像を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。


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