うちの母、最近ひとりで外出する機会がずいぶん減っています。
この前、母が電話口でふと
「玄関でこけたのよ」
と言ったのを聞いて、私の胸はざわつきました。
このような親の変化を前に、
「そろそろ、親の介護のこと、考える時期なのかもしれない」
と感じたことはありませんか。
でも同時に、
「私は、仕事も忙しいし、子どももまだ小さい」
「正直、自分の生活は守りたい」
「親のことは心配なのに、介護はしたくない…そんな自分は冷たいのでは」
そんな矛盾した気持ちに、苦しくなっていませんか。
私は2009年から介護の現場で働き、
介護福祉士・社会福祉士・ケアマネジャーの資格を取得しました。
現在も現役でケアマネジャーとして働く一方、私自身も2児の母です。
「介護は家族がやるもの」
そうあなた自身も思い込んでいませんか。
「介護をやらない=冷たい子ども」と周囲から見られるのが怖くて、
結果として家族が無理を重ね、家族自身が壊れてしまう現実を、私は何度も見てきました。
この記事では、
「家族が全部背負う」でも
「すぐに公的制度に頼る」でもない、
いきなり決断しなくていい関わり方があることをお伝えします。
今すぐ答えを出さなくても大丈夫です。
ただ、あなたの生活を守りながら、「何もしないわけではない」関わり方があると知るだけで、
心が少し軽くなるかもしれません。
家族が“介護しない”ことは、無責任とは限らない
今の時代、
「介護=家族がやるもの」と考えるほうが、
現実に合わなくなってきています。
たとえば、厚生労働省のデータでは、
平均寿命と健康寿命のあいだには、
男性で約9年、女性で約12年の差があります。
これは、人生の中で、誰かの支えが必要になる期間が、
一定の長さで存在する時代になっています。
また、介護が「一時的な出来事」では終わらないケースも、
決して珍しくありません。
一方で、世帯の平均人数は減り、核家族化が進んでいます。
高齢者の割合は約29%と過去最高を更新し、
支えを必要とする人は増える一方で、支える側は確実に少なくなっています。
さらに今は、夫婦共働きが当たり前になり、
晩婚化によって「育児と介護を同時に抱える」
いわゆるダブルケアの世代も珍しくありません。
私自身、ケアマネジャーとして現場に立つ中で、
さまざまな家族の形を見てきました。
小さな赤ちゃんを連れて、面談に来られた娘さん。
仕事の合間を縫って、職場で面談をした息子さん。
支援の開始から終了まで、ご家族とはすべてオンラインでやりとりしたケースもあります。
決して、
「時間に余裕がある家族」ばかりではありませんでした。
それでも、うまく介護と自分たちの生活を、両立できていたケースに共通していたのは、
早い段階から外部に頼り、相談していたこと、
そして、
「家族としてできること」と「できないこと」を、整理していたことです。
すべてを家族で抱え込まなかったからこそ、
結果的に、長く・穏やかに関われていた、
そんなケースを、私は何度も見てきました。
もはや、親と離れて暮らし、仕事や子育てをしながら、
「家族だけで介護を担う」こと自体が、無理のある前提です。
介護は「家族がすべて背負うもの」ではなく、
社会や外部の手を借りながら関わるものへと変わってきています。
※本文で引用した数値は、以下の公的資料を参考にしています
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa24/index.html
・内閣府「高齢社会白書(令和7年版)
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf
プロに任せることで、親子の関係がこわれずに済む場合がある
「親を思って手を差し伸べたはずなのに、なぜかうまくいかない」
そんなふうに苦しんでいる息子さんや娘さんを、私はケアマネとして何度も見てきました。
でも、そんな自分自身を責めないでください。
親に優しくなれなかったり、つい言いすぎてしまうのは、
決して親を大切に思っていないからではありません。
家族だからこそ、感情が入りすぎてしまうだけです。
実例①:「私が手伝うと言っても、母は嫌がるんです」
1人でお風呂の浴槽に入ることが不安になってきたお母さん。
娘さんは週に2回通って、お風呂を手伝おうとしましたが、
その提案は、お母さんから何度も断られました。
ところが、私(ケアマネ)が訪問介護サービスを提案すると、
お母さんはあっさり了承されたのです。
あとから、
「娘に迷惑をかけたくない」
「娘に体を見せるのが恥ずかしい」
そんな気持ちが、お母さんの中で重なっていたことが分かりました。
今は、お風呂はヘルパーさんに任せ、娘さんは買い物や掃除など、
”無理のない範囲でできる関わり”を続けています。
家族以外の人のほうが、かえって頼みやすい。
そう感じる高齢者は、決して少なくありません。
実例②:「何回も言わせないでって、怒ってしまいました」
物忘れが少しずつ増えてきたお父さん。
お父さんが同じ質問を繰り返すたび、娘さんはつい強い言い方になってしまい、
あとで自己嫌悪に陥っていました。
その後、週に一度、ヘルパーさんが掃除に入るようになり、
たまたま、お父さんとヘルパーさんとのやりとりを目にした娘さんは、
「こう返してあげればよかったんだ」と気づいたそうです。
老いについての知識と経験をもつ人の関わり方は、
家族にとって、親との距離を取り戻すヒントになることがあります。
家族が頑張りすぎないことで、親子の関係が守られる。
そんな関わり方も、確かに存在しています。
必要なときだけ、外に任せる方法がある
介護は、ある日突然、一気に始めなければならないものではありません。
早いうちから、少しずつ外部とつながっておくことが、
結果的にスムーズな支援につながることもあります。
「知らない人を家に入れるのは抵抗がある」
そう感じて、ヘルパーサービスを拒まれる方は少なくありません。
だからこそ、状態が比較的落ち着いている段階で、
段階的にサービスを利用し、関係をつくっていくことが大切になります。
早めに外部とつながることで、支援はスムーズになる
私がケアマネとして関わる中には、退院後に突然介護が始まり、
家事だけでなく入浴や排泄の介助まで必要になり、
毎日ヘルパーさんが入る生活になったご家庭もありました。
急に生活が変わると、本人もご家族も戸惑いが大きく、
慣れるまでに時間がかかることも少なくありません。
一方で、
「そろそろ見守りが必要かもしれない」
「少し手助けがあったほうが安心かもしれない」
そんな段階で、家族以外の人との関わりをつくれていたケースでは、
支援がスムーズに進むことが多いと感じています。
任せるのは、すべてでなくて構いません。
たとえば、次のような頼み方があります。
- 転ばないか心配な時間だけ見てもらう
- 通院や買い物の付き添いだけお願いする
- 家族が行けない日に、代わりに様子を見てもらう
こうした「部分的な困りごと」を、外部に任せるという関わり方です。
家族ができることまで、手放す必要はありません。
むしろ、
「家族無理をしてまで抱えなくていい部分」を外に出すことで、
長く関われるケースもあります。
介護は、最初から大きく構えなくても大丈夫です。
必要になったときに、必要な分だけ、頼れる先がある。
それを知っているだけで、
気持ちが少し軽くなる方もいます。
自費訪問介護サービスという選択肢のメリット・デメリット
介護の支え方には、さまざまな形があります。
その中で今回は、
家族の代わりに“人”が直接関わる支援として、
自費訪問介護サービスに焦点を当てます。
「介護が必要かどうか、まだはっきりしない」
「制度を使うほどではないけれど、少し手助けがほしい」
そんな段階でも使いやすいのが、自費訪問介護の特徴です。
自費訪問介護サービスのメリット
- 介護認定がなくても利用できる
介護保険サービスのような認定調査やケアプラン作成が不要で、
必要になったタイミングで比較的スムーズに使い始めることができます。 - 必要なときだけ頼める
週1回・月1回・不定期など、本人の暮らしや家族の都合に合わせた使い方が可能です。 - 合わなければやめやすい
長期契約に縛られず、「一度試してみる」という使い方ができます。
心理的なハードルが下がります。 - 家族がこまかな調整役にならなくていい
日時調整や内容のすり合わせを事業者側が担うことで、家族の負担は増えません。 - 介護の“前段階”のニーズにも対応できる
見守りや話し相手、外出や趣味活動の付き添いなど、介護保険では対応しにくい部分をカバーできるのも特徴です。
自費訪問介護サービスのデメリット
- 費用は全額自己負担になる
公的制度に比べると、費用面の負担は大きくなります。
利用頻度や時間によっては、継続が難しくなる場合もあります。 - ヘルパーとの相性がある
人が入る支援である以上、「合う・合わない」はどうしても生じます。
これは介護保険サービスでも共通する点です。 - 事業者によってサービス内容に差がある
同じ「自費訪問介護」でも、対応できる範囲や質は事業者ごとに異なります。 - 介護が進んだ場合は制度利用が必要になることも
自費サービスはあくまで“選択肢の一つ”。
状態が変われば、介護保険サービスへの切り替えが必要になるケースもあります。
⭐「自費訪問介護って、実際どこまで頼めるの?」
そう感じた方のために、具体的なサービス内容が分かるページを一例として載せておきます。
24時間365日対応の介護保険外のオーダーメイド介護サービス【イチロウ】
介護は、がんばり続けることだけが正解ではありません。
家族が無理をしないための境界線を考える、ひとつの参考例です。
自費訪問介護サービ|実際のサービス利用例
利用例①|まゆさん(51歳・娘)「まだ”介護が必要”というほどではないけど、このままでいいのか不安だった」
💡きっかけ

最近、母が「外に出るのが億劫」と話すようになりました。
歩けないわけではないし、介護が必要というほどでもない。
でも、このまま家に閉じこもってしまわないか、娘として少し気になっていました。
💼何を頼んだか
買い物の同行を依頼。
近所のスーパーだけでなく、母がよく通っていた百貨店や、好きな雑貨屋さんにも、バスに乗って一緒に出かけてもらいました。
⭐家族の関わり方の変化
「外出を楽しんでいる」という事実が分かり、娘さんの不安が軽減。
娘さんが、無理に仕事を調整して連れ出そうとしなくてもよくなりました。
結果的に、気持ちに余裕が生まれ、今では娘さん自身がお母さんと出かける機会も増えています。
利用例②|ゆきさん(58歳女性)「孫の結婚式に出席させてあげたい」
💡きっかけ

遠方に住む父に、孫の結婚式に参列してほしい。
でも今の父では、一人での移動は難しい。
でも私自身も、結婚式準備で付き添う余裕がありませんでした。
💼何を頼んだか
自宅から結婚式会場までの移動と、会場での付き添いを依頼。
⭐家族の関わり方の変化
お父さんは、無事にお孫さんの結婚式に参加でき、
「父にとっても大切な思い出になった」と、娘さんは話されていました。
この経験から、娘さんもお父さんも、「必要なときだけ頼れる先がある」と分かり、
また利用したいという気持ちにつながっています。
利用例③|じゅんさん(53歳・息子)「普段は大丈夫。でも、たまに一人では難しいことがある」
💡きっかけ

(息子)
一人暮らしの母、日常生活は問題ないものの、
大掃除や衣替え、庭の手入れが一人では大変になってきました。
でも私も仕事が忙しく、手伝いに行けませんでした。
💼何を頼んだか
スポットでの家事支援(掃除・衣替えなど)を依頼。
⭐家族の関わり方の変化
お母さんの家の様子を、第三者が定期的に見ることで、
息子さんは、お母さんの生活の変化に、早めに気づけるようになりました。
お母さんに「何かあってから」ではなく、普段の状態を息子さんが知れていることが、双方の安心感につながっています。
今すぐに、サービスの利用を決めなくて大丈夫
介護は、
「何か起きてから一気に始めるもの」ではありません。
親に、少し気になる変化が出てきたとき、
家族だけで抱え込まず、
家族以外に頼る選択肢があると知っているだけで、
あなたの気持ちがずいぶん軽くなります。
家族がすべてを担わなくてもいい。
全部を手放す必要もない。
必要な部分だけ、必要なタイミングで、
外に任せるという関わり方はたくさんあります。
今回紹介した自費訪問介護サービスは、
「まだ介護ではないけれど、このままでいいのか不安」
そんな段階の人が、無理なく使える選択肢のひとつです。
もちろん、今すぐサービスの利用を決める必要はありません。
ただ、
いざというときに頼れる先を知っているかどうかは、
これからの安心につながります。


コメント