
はじめに
「家での食事づくり、どうすればいいの?」「宅配食って介護でも使える?」
そんな悩みを持つご家族に向けて、ケアマネの立場から“続けやすい食事支援”のコツをわかりやすく解説します。
ケアマネとしてご自宅を訪問していると、
「入院中はバランスの良い食事だったのに、退院後はつい味の濃いものを食べてしまう」
という声をよく聞きます。

入院中は病院食だったけど、家では味の濃いものばかり作っちゃうんです…

そうなんだよね。
家庭では“制限よりも続けやすさ”が大事なんだ!
スーパーのお惣菜やコンビニ食が中心になり、塩分や糖分の摂りすぎになったり、
逆に「食べる量が少ない」「味が濃くないと食が進まない」ということも。
配食サービスをすすめても「味が合わない」「飽きてしまう」と続かないケースもありますね。
食事制限は「治療の一部」であると同時に、「生活の一部」でもあります。
今回は、疾患別にみた食事制限のポイントと、宅配食の選び方をケアマネ視点でまとめました。
在宅で食事管理が難しい理由とよくある悩み

毎日違う献立なんて無理…同じおかずになっちゃう。

大丈夫!『続けやすさ』を優先して工夫していけばいいんだよ!
- 家族が調理や買い物を担い、負担が大きい
- 本人の嗜好(味の濃い・やわらかい等)に合わせるのが難しい
- 「病院のように毎日違う献立」は家庭では再現できない
- 配食サービスも味や内容が合わず、続けにくい


➡️ まず大切なのは「本人の楽しみを奪わない工夫」です。
「制限」よりも「安心しておいしく食べられる工夫」を考えていきましょう。
在宅介護で食事を見るときのチェックポイント
- 咀嚼・嚥下:むせやすさ、入れ歯の状態、口内の乾燥など
- 栄養状態:食事量、体重の変化、低栄養のリスク
- 疾患管理:塩分・糖分・たんぱく質などの制限が必要
- 食環境:誰が調理しているか、どこで食べているか、孤食の有無
問題が見つかったときの解決策
- 調理困難 → 宅配弁当・配食サービスの利用
- 塩分・糖分制限あり → 医師指示に合わせた制限食の宅配利用
- むせ・嚥下低下 → リハビリによる機能回復
- 買い物負担あり → 食材宅配やネットスーパー、移動販売の利用
- 食欲低下 → 栄養補助食品(栄養ドリンク・ゼリー)の利用
疾患別|食事制限のポイントと工夫
病気によって気をつけるポイントは違います。ここでは代表的な4つを紹介します。

病気ごとに工夫は違いますが、難しく考えなくてOK!
できる範囲で少しずつ試していこうね。
🧂 高血圧の食事の工夫
目標:1日6〜8g未満の塩分に
- 減塩でも満足できるよう、だし・香辛料・柑橘類を活用。
- 汁物は「具多め・汁少なめ」で。
- カリウムを多く含む野菜・果物・海藻類をとり、ナトリウム排出を促す。
💡 ポイント
塩分制限食は「味気ない」印象を持たれがち。
本人の味覚や好みを聞き、少しずつ減塩に慣れてもらうのが続けるコツです。
🍚 糖尿病・高血糖の場合
目標:血糖値をゆるやかに上げる食事に
- 炭水化物の量を毎食一定に。
- 野菜→主菜→ごはんの順で食べると血糖上昇を抑えやすい。
- 間食は低糖質おやつ(ナッツ・チーズなど)を選ぶ。
- 食物繊維(野菜・海藻・きのこ)をしっかり。
💡 ポイント
「糖質オフ」「低GI」などの表示を見て選びましょう。
宅配食では、糖質制限メニューのあるサービスが便利です。
🫘 腎臓病のときのポイント
目標:たんぱく質・塩分・リン・カリウムの制限
- 肉や魚をとりすぎると腎臓に負担。
- 加工食品やインスタント食品は控えめに。
- 医師の指示でたんぱく制限量を確認し、宅配サービスでも「たんぱく調整食」を選択。
💡 ポイント
腎臓病は制限が多く、本人も家族も負担を感じやすい。
「腎臓病食専門」の宅配を使うと、計算不要で続けやすいです。
💪 フレイル・便秘傾向のとき
目標:腸を整え、筋力・免疫力を保つ
- 食物繊維を1日20g以上、水分を1.5L目安に。
- 乳酸菌・オリゴ糖で腸内環境を整える。
- タンパク質も意識して摂取(魚・卵・豆製品・乳製品)。
💡 ポイント
「やわらかくて食べやすい」宅配食を選びつつ、
同時にたんぱく質やビタミンDを補えるメニューが理想です。
🏠 家族が意識したい食事サポートのポイント
介護の食事は、栄養だけでなく「楽しみ」でもあります。
無理に制限を守ろうとすると、ストレスがたまりやすく、続けるのが大変ですよね。
食事の工夫を考えるときは、次の3つを意識してみましょう。
チェックしてみよう!在宅食事支援のポイント
✅無理なく続けられる味つけになっている?
味を変えずに減塩できる調味料や、出汁・香辛料をうまく使いましょう。
“おいしい”と感じられることが、継続の第一歩です。
✅家族の調理負担を減らす工夫はできている?
「毎食手作り」が難しいときは、宅配食やお惣菜も立派な選択肢です。
“週に何回か利用する”など、無理のないペースで取り入れてみましょう。
✅ 医師・栄養士・ケアマネに相談してみた?
疾患によっては、食事内容を調整する必要があります。
「どんな宅配が合うかわからない」ときは、ケアマネや栄養士に相談すると安心です。
🌸 まとめ|「おいしく・無理なく」続けられる食事を
✅この記事のまとめ
- 病気に合わせた工夫で「おいしく安全に」食べられる
- 宅配食や惣菜も立派なサポート手段
- 家族の負担を減らすことが、続けられる介護の第一歩

完璧を目指すより、笑顔で食べられることがいちばんだよ!
在宅介護の食事は、「治療」と「生活」をつなぐ大切な部分です。
完璧を目指すよりも‟おいしく・無理なく続けられること”が何より大切。
宅配食や栄養補助食品をうまく活用すれば、家族の負担も軽くなります。
本人が笑顔で食べられる時間を守ることが、在宅生活を支える力になります。

🍀「食べること」は、生きる力そのもの。
家族の頑張りをひとりで抱え込まず、
サポートを上手に取り入れながら“続けやすい介護”を目指していきましょう。


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